0505 今週のお題「ゴールデンウィーク2018」

 

今週のお題ゴールデンウィーク2018」

空も山も湖もぜんぶ青い。

「富士山を見たい」と母に連れられ、山梨県は河口湖へ遊びに行ってきました。

富士山の青は、清々しい晴れ空の青に混じって霞んでぼやけることなく、輪郭がくっきりと分かる程に澄明でした。河口湖の水上を旋回する遊覧船に乗ったときは、空の青と湖の青のあいだを断ち切る山麓の青に、湖の向こうに見える町並みをも呑み込もうとしている青に、圧倒します。写真はその時のものです。

レンタカーを借りて河口湖周辺をぐるぐる回っていたのですが、どこへ行っても振り返ればそこに富士山がいました。立ち寄ったお土産屋さんや美術館を出たらば、まずどこに富士山がいるか見渡しました

富士山が見える度「すごいねー」「ねー」と言い合っていたわたしたちは、初めはほんとうに感嘆したから「すごい」と思わず口から漏らしていましたが、後半からは富士山の安否を確認する為のいわば点呼として言っていたような気がします。

帰りの電車では、いよいよ富士山とお別れなのかと寂しい気持ちではありましたが、窓から見えていた富士山はあくまで他の山々へ身を隠すようにして見えなくなっただけで、決して小さくなって消えるのではなかったことに少し安堵しました。たまに山と山のあいだから青い影の先っちょだけが見えたとき、ア、と思いました。新幹線に乗り換えて、いよいよ山梨県から離れても、向こうに見える稜線からひょっこり頭を出したりしないものかとぼんやり景色を眺めていました。

わたしは京都駅で途中下車し、新幹線の車内で母とお別れしました。振り返ってももうどこにも富士山はないということはもう分かってはいましたが、どこかにあれと同じ青は無いかとくるくる探してみたりしました。真っ白い雲が空一面を覆っていて、繁華街も薄暗く、色あせて見えました。無いかなあ、無いかなあとモノトーンの家路をたどり、下宿先の扉の前にたどり着いたら、鍵を開け、中に入り、ぱたんと扉を閉めた瞬間、とうとう真っ暗になった部屋の中、日常に戻っていく温度をさえざえと感じながら、この連休はブルーウィークだった、と思いました。脳に焼き付いたままのあの風景は未だ眩しいほどの青を放ったままでした。昨日まであの風景の中にわたしたちがいたという確かな証拠です。この連休はブルーウィークだった、と母に言えなかったので、この連休はブルーウィークだった、とここに書いておきましょう。この連休はブルーウィークだった。この連休はブルーウィークだった。